Leanな生活について考えるブログ

「LeanStartUp」や「デザイン思考」や「UX」な考え方についていろいろ考えたり、日々の生活で実践したり。

シーン15

○ 喫茶店
 
 ゆうと雄一が会話している。
 雄一はメロンソーダを飲んでいる。
 
 
ゆう「ひさびさじゃん」
ゆう「私と会うのいやだった?」
雄一「え?なんで」
ゆう「だって前に会おうとしたときもこなかったし」
雄一「ああ、ごめん、でも連絡しようとおもったけど」
ゆう「私も隆にきいてたんだけどね…」
 
ゆう「隆とは交流もうなかったの?同じクラスだったんでしょ?」
 
雄一「あいつとはほとんどしゃべってなかったし」
雄一「俺としゃべるのいやだったんじゃないか」
雄一「俺もあいつも、昔の俺とあいつじゃなかった」
雄一「俺はただのさえない、クラスの一人。あいつは将来も輝かしい人気者」
雄一「いや、昔から変わらないのか」
 
 
 
雄一「そう、洪水の日、俺ゆうのうちの近くまでいったんだ。西島から住所聞いてたから」
ゆう「そうなの?」
雄一「そしたら西島がいた」(小さな声で)
ゆう「え?」
 
雄一「いや、なんでもない」
 
 雄一メロンソーダをのみつづけている
 
雄一「ゆうはどうやって知ったの、西島のこと」
ゆう「直接家族のかたから」
雄一「あ、そうなんだ」
 
ゆう「隆とつきあってたから」
雄一「知ってた」
 
ゆう「死んだのかな」
雄一「死んだだろうね」
 
 ゆう、うつむく
 雄一窓の外を見る
 
雄一「これで俺はあいつに一生勝つことができないまま」
雄一「いらつく」
 
 雄一、ごんと頭を机にぶつける
 
雄一「ゆう」
ゆう「ん?」
雄一「俺は」
雄一「あいつが死んだときいたとき、かわいそうだなと、当たり前の感想が頭に浮かんだ」
ゆう「…」
雄一「そしてそれ以上の感想をもてなかった」
雄一「俺はあいつの幼馴染だ。なんだかんだいったって、きっと泣くだろうなと思った」
雄一「ところが、一滴のナミダもでやしない。そのとき、完全に自覚した」
ゆう「いっちゃん」
雄一「俺はあいつが死ぬほど大嫌いだった。死んでくれてありがたかった」
ゆう「いっちゃん!」
 ゆう、怒鳴る
雄一「ごめんな、彼氏の悪口、死んでからいうなんて。最低のやつだよな」
 
 雄一笑う
 
雄一「俺さ、今日もういかなきゃいけないから、先出るね」
ゆう「どこに?」
 
雄一「ほんとうのさいわいのあるところに」
 
 メロンソーダを飲み干す