【アート】 アールヌーヴォー モダンデザインの歴史(2)
■ 伝統主義に対立し、芸術至上主義として生まれる。
20世紀のはじめヨーロッパで人気があった曲線を中心で自然主義的なスタイル。
アールヌーボーは、「新しい芸術」を意味するフランス語。言葉の起こりは、19世紀末パリにおいて美術商ビング氏が、新傾向の販路をヨーロッパに広めるにあたり、名付けた。
アーツアンドクラフツ運動は政治運動としての一面をもっていたが、アールヌーヴォーは純粋に美術運動だった。
ベルギーやフランスを中心に起こった。
この芸術は、建築、家具、ガラス工芸、ポスター等、あらゆる生活の分野に見られた。
■ 特徴
ゆり、ひまわり、木の根、白鳥と孔雀が主なモチーフ。デザイン的にも草や木々などの自然にあふれる微妙な曲線を、鉄やガラス等をつかって表現されました。曲線を多用したデザインが特徴。日本やプリミティブ、北欧の美術に刺激をうけた。
■ 活躍した人
ガラス工芸のアールヌーヴォーと言えばエミール・ガレ。フランスのエクトール・ギマール(1867ー1942)とベルギーのヴィクトール・オルタ(1861ー1947)両者とも建築から室内装飾、家具までさまざまな作品を残した。アルフォンス・ミュシャ(チェコ語読みでムハ、1860〜1939年)は絵画で活躍した(右上の絵はミュシャのゾディアック)。広い意味ではティファニーもアールヌーヴォーである。
■ 歴史の中での位置
モダンとインターナショナル、という考え方は一定しない。時代とともにかわる「動き」をあらわしたものにすぎない。ある時代にとってモダンとは「合理主義」でありある時代にとって「自然主義」なのだ。ただひとついえることは、前の時代をうちたおそう、枠を壊そうという意思こそが「モダン」であるということだ。インターナショナルもそうで、全世界に共通させようそする感覚こそが「インターナショナル」でそれが「合理」だったり「自然」だったりする。
フランスにおいては「アールヌーヴォー」は伝統を守るものと対立した「モダン」な運動だった。「自然」のままに生きるということ。人には自然権が存在するということ。それこそがこの時代のモダンだった。そしてこの思想は、最初フランスのナショナリズムとして受け入れられるが、のち、すべての世界の人も同じ「自然」であるという「インターナショナル」な思想としてとらえられ、反フランスなものとして、衰退していく。
後に、60年代、アメリカなどにおいてヒッピー運動に代表される「アンチ機能主義」「アンチ合理主義」が起こるにつれ、アールヌーヴォーの自然主義は再評価されることになり、のちの「オーガニックデザイン」につながっていく。