シーン10−1 「ザネリの夏」公演 (1) 開演前
○ 彰夫の家(夜)
彰夫パソコンを前に緊張気味
いきなりパソコンにシールがはられまくっている。
彰夫の声「ようやく送れた!初メール!で、音楽のリクエストは「MOONRIVER」で。よろ。今度、西島の演劇があるけどいくよな?なんかわかりにくいみたいだけど、面白いらしいよ。あと、海。海いこーぜー。夏はやっぱ海でしょ」
○ 学校・体育館(昼)
ザネリの夏、という看板
西島の脚本の公演。全国大会準優勝記念。
学生が集まってきている。
いすがいっぱい並べてある
彰夫、友人3がすわってる
友人2「あっぢー」
友人2「やっぱ夏の体育館はしんどいっすよ」
友人1「海いきてー!海」
友人1「あ、いたいた」
友人1「あれ、中川きてねえの?」
友人1、2がやってくる
彰夫「あ、きてない。」
友人1「なんだよ付き合いわりいなぁ」
彰夫「海も無理だって」
友人2「予備校いってるみたいだから、それでかな?」
友人3「あいつ予備校とかいってんの?まだ早くねえ?っていうかなに急にがり勉になってんだよ」
友人3、ぼそっという
友人2「なにがあったんすかね。あ、それに海はもともとあいついかねえよ。だってあいつ泳げないから」
彰夫「まじで?」
友人2「たしか小学校かなんかのとき溺れたかなんか」
友人1「へー」
友人2「で、たしかそのとき、そうそう、西島にたすけられたんだって」
彰夫「西島に?」
友人2「あー、そう。あ、このはなしいってよかったんだっけ」
彰夫、しばらく考えて
彰夫「なるほど、それで仲わりーのか?プライドきづつけられた?雄一、意外にプライドたけーしな。あ、意外でもないか」
友人2「なにぶつぶついってんだよ、おめえ」
友人1「なんだよ、海むりならむりでいいけどよ。連絡ぐらい通じろよ。携帯もあいつぜんぜんでないし」
彰夫「まじ、どうしたんかな…あ、西島」
西島がやってくる
西島「おう。きてくれてサンキュ」
彰夫「お前、いいのかこんなところにきてて」
西島「雄一きてない?」
彰夫「きてないみたい」
西島「そう…か」
西島、雄一の携帯ならす
DVをもったテレビスタッフがやってくる
テレビスタッフ「ね、西島君、ちょっとだけさ、この演劇のことでとりたいんだけど、きてもらえる?」
西島「今いきます」
携帯もつながらない
きる