Leanな生活について考えるブログ

「LeanStartUp」や「デザイン思考」や「UX」な考え方についていろいろ考えたり、日々の生活で実践したり。

「UX」の目的は2つ、チームメンバーをだますこと、そして「悪い」サービスを作ること。

いわゆるUX、人間中心設計の主な効果は、いいサービスを作ること、とは限らないと思っている。むしろ悪いサービスを短期間で作り、失敗し、素早く反省し、いいものを創り上げていく動的なプロセスにある。そしてそれを達成するために、メンバーをある意味「だましきる」ことが大事になる。皆が科学的態度で疑い続けると短期間で作ることが不可能になるからだ。

サービス開発の初期で、ビジョンやコンセプトを固める段階、まぁまだお客様がそれに対して本当にいい反応してくれるかなんて確たる証拠はないわけで、異論各論がチームメンバーからでる。その状態のままプロジェクトをすすめると、開発とマーケティング、営業みんなばらばらのこといって、できあがるサービスはコンセプトってなんですかっていうちぐはぐなものができる。まぁ、失敗はしてもかまわないとおもうんだけど、市場にだしたときに、結局何が失敗なのか測定が難しいものになってしまい、なんとなく何が悪かったのかわからないうちに、次のPDCAサイクルにつなげられずに終わる。

なので、チーム一丸になって同じコンセプトを信じきるってのが大事。で、これを達成する方法は、チームメンバー全員が信じることができる根拠があること。とてもとても長い時間をかければ科学的に客観的根拠をつなげていくことも可能だけれどビジネスでは不可能。短期間で信じるにたる根拠をつくるにはどうするか。

でっちあげるしかない。はったりである。直感である。直感を同じ方向に向かせるには宗教にならうのが一番で、宗教を参考にすると、「神様」をもちだすしかない。具体的な方法は、2つしかない。ひとつは、全員が信じきる神様のようなカリスマに発言させること。で、もうひとつが神様である「お客様」をもちだすこと。

前者は、なかなかそこいらにころがっているものではなく汎用的な手段ではない、後者であれば、どの会社でもできることだ。つまり「人間中心設計」なりUXなりをうまく使うことだ。

勘違いしてはいけないのは、そういったユーザー調査は手段であり目的ではない。そして目的は直接的に良いサービスをつくることではない。一段階はさむ。つまり、「良いサービスをつくること」→「チームをまとめること」→「ユーザー調査をすること」なのだ。チームをまとめることは、ユーザー調査の副次的な効果ではない。むしろ中心的な狙いである。イイサービスになるかどうかは、ちゃんと調査をする、というより、たくさん小さい失敗を重ねて漸次的に良いサービスにしていくことだと思う。しょせんユーザー調査など定性的評価でしかない、科学的というにはおこがましい。科学的でないことは、良いサービスをつくるという事実には直結してはいけない。因果関係がない。因果関係ないところに因果関係をみることを迷信という。因果関係を認めるためには、多くのサンプルがひつようで、何度もリリースしなおし、市場に問いかけるしかない。

誤解をまねくといけないのでくりかえすが、ユーザー調査は良いサービスをつくることにつながる。ただ、いいたいのは、その途中であるいいチームをつくることを無視しては、因果は成立しない。人間中心設計を声高に叫び、チームを崩壊させては、いいサービスをつくるという結果につながらない。ただのカルト宗教だ、といっているだけだ。

チームをまとめよう。短期間でまとめよう。短期間で、全員で同じ方向をむこう。早くリリースしよう。間違っててもいい。極端に間違えば間違うほど修正が簡単だ。複雑な人間関係のチームがつくったサービスはちぐはぐでどうしようもない。船頭多くしてなんとやら。

まあ若干極端にいいすぎた感はあるけれども、UXの専門家といわれる人が、正しさを追い求めるあまり、チームビルディングをないがしろにしてしまうことが、あるような気がするので、自戒をこめて記録しておこう。