シーン10−2 「ザネリの夏」公演 (2) テレビインタビュー
○ 同・控え室
記者と西島がむかいあってる
テレビスタッフ「で、この話はどういう話なの?」
西島「この話は、銀河鉄道の夜の話のザネリという子を主題にした物語なんです。」
スタッフ「ザネリ?そんなこいたっけ」
西島「ザネリは、銀河鉄道の夜のなかではまったく目立たない存在です。唯一の悪役といってすらいいかもしれない。」
西島「銀河鉄道の主人公はご存知のとおり、ジョバンニ。そしてジョバンニの友人、というより憧れの人、それがカンパネルラ。ザネリという子はジョバンニをいじめて、そのあげくおぼれてしまいます。そしてそれを学級委員のカンパネルラが身を呈して助け、カンパネルラは死んでいく。ジョバンニはうたたねをしているうちに、いつのまにか銀河鉄道にのり、カンパネルラと冒険する。
ジョバンニとカンパネルラは銀河鉄道という夢の世界にいくことができる。この世ではない美しいどこかへと向かうことができる。でもザネリはどこにもいけないんです。だからザネリはいつもジョバンニとカンパネルラを嫉妬しつづける。そんなザネリの話なんです」
スタッフ「なるほど」
西島「このはなしにはモデルがいます」
スタッフ「ほう」
西島「僕には2人の親友がいました」
○ 同・体育館
幕が開場
演劇がはじまる
○ ゲーセン
うるさい音楽
いらいらしている雄一
ひいているうちに
むちゃむちゃひきまくる
勢いよくギターを下におとす
がん、と音がする。
○ ゲーセンの外
雄一が携帯をだす。
着信履歴がのこっている
西島からの電話。