Leanな生活について考えるブログ

「LeanStartUp」や「デザイン思考」や「UX」な考え方についていろいろ考えたり、日々の生活で実践したり。

シーン20 公園

○ 公園
 
 だまっている雄一
 
ゆう「どうしたの?」
雄一「いい天気」
ゆう「うん」
 
 はとが群がっている
 
雄一「わっ」
 
 突然とびたつ
 ゆう、笑う
 
ゆう「隆もいたらよかったのに」
雄一「・・・」
ゆう「覚えてる?昔のこととか」
 
 
○ 海(回想)
 
 海で遊んでて競争しているシーン
 
 
○ 公園 
 
 
雄一「俺は今度こそ勝つ」
ゆう「え?」
 
 いきなりゆうにキスをしようとする
 ゆう、一瞬身をひく
 
雄一「…ごめん」
 
 
ゆう「・・・」
雄一「・・・勝てるわけないのはわかってるんだ。あいつに」
ゆう「いっちゃん、隆はそんなにすごいやつなんかじゃないよ。それは幻だよ」
雄一「なに言ってんだよ。あいつがすげーからつきあったんだろ、お前も」
ゆう「違う」
雄一「いつだって自信たっぷりで。行動もはやくて。リーダーシップもとれて。スポーツ万能で。勉強だってできて。あげくのはてに演劇の才能まであって、アメリカいったスーパースターだ。いつだって俺は比較されてきたんだ。そんなのは俺がよく知ってる」
 
雄一「そしてとんでもない偽善者だってことも」
ゆう「…」
雄一「おぼえてるか?海にいったとき。俺は西島に挑発されて、あいつと競争することになった。俺はほとんど泳げなかったし、あいつは毎週プール教室にかよってた。俺は勝てるわけなかったんだ」
 
 
 
○ 回想
 
 隆と目が合う
 隆の冷たい目
 
雄一「案の定、俺は溺れた。そして隆は溺れた俺を助け出した」
 
雄一「全部計算づくだったんだよ。俺が溺れるのも、あいつがヒーローになるのも」
雄一「俺は忘れていない。助けるときの、西島の、冷たい目を」
 
○ 公園
 
雄一「あいつに本当に、自分を犠牲にしてまで、人を助けるなんてやさしさなんて存在しない」
 
ゆう「知ってるよ」
 
雄一「そんなことできるやつなんていないんだよ、この世の中に!」
 
 
 
ゆう「だから」
ゆう「壊れそうだった」
ゆう「隆は、自分をぼろぼろに切り刻んでいた。切り刻んで、人気者っていう彫刻を作り上げてきたの。でも、ノミで削った、切り傷からは、だらだらと赤い血が滴り落ちていて」
 
雄一「…」
 
ゆう「見ていられなかった」
 
 
 しばらく無言
 
ゆう「私アメリカにいってくる」
 
 雄一、しんどそうにめをそらす
 
雄一「結局選ぶのか、西島を」
 
ゆう「違う、隆のね、死体がみつかったって。それでご家族に一緒にいかせてもらえることになったの。お兄さんは、受験があるから、いかないっていってたけど」
 
 無言
 
雄一「会いたいんだろ、西島に」
 
 雄一、低い声で大きく言う
 ゆう、しばらく無言
 
ゆう「さっき守ってあげなきゃっていったけど、それは隆のため、だけ、というわけじゃなかった」
 
 
ゆう「私ね、前の学校で、誰かわからない子供、妊娠しちゃって。すぐおろしたんだけど、うわさはひろがって。結構まじめな学校だったから、それですごいいじめられて。ま、ありがちなんだけど」
 
ゆう「別にそんなにダメージはうけてないつもりだったんだけど。でも、そんなまわりに嫌気さしてこっちに逃げてきたんだ。現実を見ないでふらふらしてた。そしたら、隆にあったんだ。前と変わらない」
 
ゆう「壊れてる隆に。だから、守ってあげなきゃとおもった」
 
ゆう「でも実際は、私はそんなあいつを守る、支えることで、徹底的に弱い自分を見ないようにしてきただけなんだとおもうんだ」
 
ゆう「あいつが死んだことで、私ははじめて次のステップにふみだせるのかな、って、気づいた」
 
ゆう「結局、私は隆に依存してただけ」
 
 ゆう、無言
 
ゆう「どうしても、確認したくて」
 
ゆう「私が、前に進むために」
 
ゆう「ひどいこといってるな…わたし」
 
雄一「…」
 
雄一「俺も今「壊れそう」だから、守ってあげてるってわけ?」
 
 雄一手に持っていたペットボトルをいっきにのみこむ
 ペットボトルを地面にたたきつける
 
ゆう「…違う、そうじゃない」
雄一「違わないだろ…」
 
 二人無言
 
ゆう「…私もね。前にすすむ。隆をのりこえる。だから、雄一も、前にすすんで」
 
ゆう「隆とね、向き合わないと、だめなんだよ、隆の幻にふりまわされてたら、だめなんだよ」
 
 
 
 
 
 
雄一「しばらく会うのはやめよう」
 
ゆう「なんで?」
 
雄一「・・・俺は、絶対に永大へ行く」
雄一「そして永大いったら、ゆうをむかえにいく」
 
ゆう「違う…そういうことじゃない…」
 
 
ゆう「こっちにきて、最初に偶然あったのが、いっちゃんだったら、よかったのに…」
 
 
 ゆう帰る
 
 雄一、はく